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2016.02.21

「イニシャルD」は速さじゃなく、美学のぶつかり合いを描いていた。

「頭文字D」作者、しげの秀一、ロングインタビュー_後編

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ハチロクとトレノ

拓海を勝たせるのに必死だった

-四輪のなかでも公道、峠、そしてドリフトというテーマを選んだのには理由があったんでしょうか?

それは初めから決まってた気がしますね。『バリ伝』もそうでしたけど、峠を走るのが好きな小僧たちがどんどんステップアップしていく話。今の時代は違うかもしれないけど、昔は運転を楽しもうと思ったらまず峠ですよね。僕自身がそうだったし、サーキットにはない楽しさって絶対あるんですよ。峠で速さを競って、マシンのコントロールを磨いていく延長線上でのドリフトができるようになる。そういう流れが自分としては素直に、最初から決まってた気がしますね。

-これはもう、何百回も聞かれてると思うんですが……。AE86のトレノを選んだのは、ご自身がお乗りになっていたからですか?

そうですね。たまたま僕が初めて自分で買ったクルマがハチロクのトレノだったんです。速さという点ではそうでもないんだけど、あれほど楽しいクルマは他になかった。だから主人公のクルマは絶対これしかないと決めてました。

-そこでしげのさんがハチロクを選んだことで、後にハチロクというクルマの運命が大きく変わることになるわけですよね。

じつはハチロクの人気は、それ以前から確立されていたんです。で、いちど沈静化していたのが、『イニD』でもう一回再燃した。僕はそう認識しています。当時の『CARBOY』誌なんてハチロクの記事ばっかりで、それ以外のクルマの扱いはカスみたいなもんでしたから(笑)。

-なんでそれほどハチロクがもてはやされたんでしょうか。

そのころハチロク以外で走って楽しいFRって何があったかなと考えると……。大きいクルマならスカイラインとか、シルビアぐらいかな。でもハチロクほどアフターパーツが豊富で、エンジンのチューニング、たとえばボアアップ系のキットとかあれだけたくさんあったクルマは他にないでしょうね。

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-ハチロクの中でもトレノ派とレビン派ははっきり分かれていましたよね。当時はどちらかといえばレビンのほうが人気だったですよね。

僕はなんのポリシーもなく、家の近くのディーラーがたまたまトレノを扱っていたから買ったんですよ。もし自分がレビンに乗ってれば、描くのもレビンにしたと思います。峠というステージではレビンの方が本当はよかったかもしれない(笑)。走り屋的に言うとトレノはちょっとノーズ・ヘビーなんですよね。リトラクタブルライトの機構が入ってるから、レビンに比べると若干バランスが悪い。だからラリーはほぼ100%レビンだったでしょ。いっぽうフレッシュマンレースとかサーキットだったらほぼトレノ。やっぱり空力なんでしょうね。当時、そういう棲み分けはありましたね。僕は戦闘力のないマシンを目いっぱいプッシュして……というストイックさが好きなんですよ。性能では劣るんだけど、気合とテクニックで新型車を追っかけまわすというシチュエーション。僕が燃えるのは(笑)。

-〝柔よく剛を制す〝というか。

そうそう。日本人的な考えかもしれないけど、柔道とかまさにそうですよね。だからハチロクもそういう意味合いを込めて。連載開始当時でもすでに旧車。出てくるクルマたちはみんなハチロクより新しいし、排気量も大きかったり。でもまあ、僕の中では〝峠の下り限定〞だったらあながちウソでもないな……と真剣に思いながら描いてました。『これはあり得る!』って。チューニングして足まわりきっちり固めてあるし、『今どきの重たいクルマには、下りだったら負けない』って真剣に思いながら描いてたんですよ」

-フィクションでありながらも、そういうリアリティを感じさせるというところが……。

すごく大事にしてました。途中から苦しくなりましたけどね。『うーん、こいつらに勝っちゃおかしいんだけどなあ』って(笑)。それでもなんとか知恵を絞って、気象条件とかを加えてみたりね。拓海を勝たせるのに必死で、強豪を次から次へとうっちゃっていく。

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しげの秀一/Shuichi Shigeno
1958年生まれ。新潟県出身。1983年~91年まで少年マガジンで『バリバリ伝説』を連載。当時のバイクブームの牽引役となった。1995年から2013年までヤングマガジンにて『イニシャルD』を連載。マンガだけでなくアニメ、映画としても大ヒット。全世界に影響を与えた自動車マンガの金字塔となる。現在はヤングマガジン誌上でJK野球マンガ、『セーラーエース』連載中。

語り/しげの秀一
聞き手/河西啓介(NAVI CARS)
写真/三浦孝明(人物)、小山幸彦(STUH)( 本)

→「頭文字D」作者、しげの秀一、ロングインタビュー_前編

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