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河口まなぶ

河口まなぶ

2014.11.28

がんばれ、ホンダ

▪️ホンダが大変なことになっている。皆さんもニュース等でご存知だろうから細かなことは書かないけれど、中の方も様々な対応に追われている。

▪️今日、久しぶりに青山一丁目のホンダ本社のプレスルームにうかがった。実に何年ぶり? というくらい久しぶりだ。そうして今日は、4輪ではなく2輪のクロスカブをお借りした。ホンダのご厚意で、2輪の主たるモデルを試乗させていただく機会を得たからだ。

▪️この仕事を始めて今年で20年が過ぎた。そんな僕のキャリアの中にあってホンダというブランドは特別だ。特に、この仕事を始めてから2台目に購入したのがビートで、その後もS2000、NSXタイプS、NSXタイプR02と乗り継いだ。1990年代の後半から2000年代の前半まで、僕はホンダに本当にお世話になった。

▪️当時の広報部にいらした方が、まだ30歳前後の僕を可愛がってくれて、本当に自動車評価の基礎から徹底的に教えてくださった。それと同時に、当時のそれはそれは熱いホンダのスピリットとイズムを、肌で味あわせてくれた。

▪️だから、僕が今こうしてあるのはホンダのおかげ、といって良い。当時は自動車メーカーもジャーナリストを教育してくれるような気概にあふれていた。

▪️僕は自分では意識したことがないのだけど、よく「熱いですね」と言われる。が、おそらくそれはこの時期にホンダに教えてもらったスピリットやイズムが息づいているからだと思う。

▪️だから僕は、ホンダに対して並々ならぬ想いを抱いている。だからこそ、ここ最近のホンダは嫌いだと実際に記してきたし、批判もあえて記してきたつもり。それが伝わるか伝わらないかは別として、僕を育ててくれたホンダは、もっと絶対にリスペクトすべきブランドであると思っているからこそ、僕の想いをぶつけている。そしてそういう本音を受け止めて、本音で返してくれるブランドだと真剣に思っている。

▪️とはいえ最近ようやく分かってきたことは、ホンダというブランドはその熱さよりも何よりも、人に喜ばれるプロダクトを送り出す会社であり、そうした想いが時代を経て、今のプロダクト群になったということ。だから、それを否定するつもりはない。例えばフィットは、より多くの人の生活の役に立って喜ばれるプロダクトであり、それはホンダらしさの真骨頂だと思う。

▪️ただ同時に思うのは、そうしたホンダらしさが今、確実にブランドを下げる要因にもなっていることも間違いない。人を喜ばすことは、とても素晴らしいことだ。けれどそれは行き過ぎてもいけない、と僕は想う。人を喜ばせるということは究極的な便利になることではないし、究極的にストレスフリーになることでもない、と僕は想う。そこには、あえて行き過ぎず留まるような、スピリットやイズムがほんのりと漂うくらいには必要と思うのだ。

▪️今夜、食事の席で偶然にもブランドの話になった。そこで得たひとつの解は、ブランドとしてもっとも大切なことは「なんとなく良い」と思われること。すなわち、分析不能な魅力を持つ、ということ。性能や存在感や価値や、それに裏打ちされる物事よりも、ふんわりしたものは意外に、いやとっても大切だと今は思う。

▪️そうした話からすれば現在のホンダと、ホンダのプロダクトの魅力は、あまりにも理路整然とし過ぎているようにも思う。価格が安い! 燃費に優れている! 使い勝手が良い! もちろんこれらは素晴らしい性能と価値だ。けれども、それだけで割り切れてしまうものに、真に魅力が宿っているか否かを考えると難しい。そこには、なんとなく、もなければ、ちょっとかっこいいから、もない。説明がつく良さや魅力はある意味行きすぎなのかもしれない。

▪️今日、クロスカブをお借りして家路についた。いまや中国製となったホンダの原点(の派生モデルだけど)は、率直な印象として道具としてはもっと優れているものが他にある、と思えるものだった。例えばロータリー式のギアは、なくても良いものなのだろう(いや僕はこのあたりに明るくないので、絶対的な理由があるかもしれないけれど)。信号待ちで隣に並んだ50ccのスクーターは、僕がギアをチェンジしているうちに先にいってしまった。

▪️でも、このホンダの原点の派生モデルに今日乗って、性能云々、機構云々でなくて、なんか雰囲気あるなぁと思ったのも事実だ。なんなのだろう、この意味不明に楽しく気持ちよい空気感。

▪️正直、道具としてのオートバイに楽しく気持ちよいなんて情緒は不要だし、世の中的にも求められていない。そしてカブはそうした世の中的な欲求にキチンと応えて、実用の鏡となっている。にも関わらず漂う、意味不明で情緒的な空気感。

▪️おそらくそれが、ホンダらしさ、なのだろうと僕は思った。

▪️そして、そんな考えからすれば、いまのホンダの4輪はあまりに実用の鏡過ぎるし便利過ぎるし理路整然とし過ぎてる。いや、それは実用のためにはとても正しいことだから、それを手にしていることは強みだ。

▪️けれど、だけれども、それと同時にこのカブにあるような、意味不明な楽しさと気持ち良さがあった方が、やっぱりホンダらしい、と多くの人は思うはずだ。少なくとも僕はそう、思う。そして、そうした楽しさや気持ち良さは意味不明だけれど、やはりスピリットやイズムが根底にあるからこそ、のものだとも思う。

▪️ちっ、ホンダのことを書いたら、2000字以上になっちまった。なんだこの手のかかる感じ。ホント、ガンバってくれないとこっちが恥ずかしくなるわ。

▪️がんばれ、ホンダ。待ってます。

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