MOTORCYCLE

夜を愛したライダーたちの夢のあと

2019年秋の東京・お台場。テレビ局や商業施設で賑わう
この街のど真ん中には、BMWのディーラーがある。そこでは数ヵ月に
一度、ライダーのためのナイトミーティングが開かれていた。
その数時間だけ、そこはライダーたちの楽園だったーー。

文/日越翔太(Moto NAVI) 写真/小野広幸

2019年10月。その最初の土曜の夜。東京・お台場のBMWディーラー、BMW東京ベイの駐車場には数百台のバイクが整然と並んでいた。どの車両も手入れが行き届き、“よそ行き感”がある。見られたがりが多いライダーのことだから、この夜のためにカスタムした人も多かった。
この夜で8回目を迎えたBMWモトラッド主催のナイトライダーミーティングは、回を追うごとにその来場者を増やしており、その夜もまたたくさんのライダーが駆けつけていた。そもそもメーカー主催のミーティングが夜に開催されるなんて、時代も変わったものだ。
思い起こせば、初回が開催されたのは2017年の春のことだった。果たして夜の都心にそんなに大勢のライダーが集まるのだろうか? 初めは誰もが半信半疑であった。だが蓋を開けてみれば、300人近くのライダーがBMW東京ベイに集まった。BMWオーナーはもちろんのこと、他メーカーのオーナーも大勢そこにいた。ディーラーで開催されたイベントとしては珍しく、メーカーを限定せず広く門戸を開いたおかげで“内輪”のイベントではなく、すべてのライダーのためのイベントとなっていた。振り返ってみれば、そこが多くのライダーを集め、回を重ねられるようになった勝因だろう。
話を戻そう。ただ、この夜はそれまでと違うことがひとつだけあった。それはBMWのディーラーにて、ハーレー・ダビッドソンの車両に試乗できるということ。アプローチは異なれど、世界のバイクシーンを牽引するBMWとハーレーがタッグを組み、お台場を訪れたライダーをもてなす。その異色のタッグに興味を持ち、それまでにない多くのライダーが集まってきたのだ。
都市型バイクイベントの新しいかたちを提案してきたBMWのナイトライダーミーティング。参加は無料でメーカーも問われない。必要なのはバイクを思う気持ちだけ。次回の日程はまだ発表されていないが、きっとまたライダーたちの夜を彩ってくれるに違いない。

この夜の来場車の割合はBMWが4割、その他メーカが6割といったところ。非BMW勢のなかで特に目立っていたのはやはり、今回のもうひとりの主役ハーレー。過去7回とは比較にならないほど多くのハーレーオーナーが詰めかけ、お台場の夜を彩った。友人知人と誘い合って数台で現れるライダーもいれば、ソロでさらっと訪れ、すっと帰っていくもの、タンデムで来場するカップルらの姿が多く見られた。また、海外カスタムシーンを思わせる70 ~ 80年代の日本車をベースにしたカスタム車両もチラホラ。一方で爆音や三段シートなどの違法改造車は皆無で、ジェントルなライダーの集いであることも明記しておきたい。