祝開店！クシタニ本店で聞いてみた！ |

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祝開店！クシタニ本店で聞いてみた！

21年9月に静岡県浜松市にオープンした、クシタニ本店。
そこでクシタニの歴史を紡ぎ続ける3人の“クシタニさん”に話を聞いた。

まとめ／日越翔太（Moto NAVI）　写真／日越翔太（Moto NAVI）、クシタニ

象徴的なものを作ることで戒めとしたかった

バイクウェアブランドのクシタニが、創業の地である静岡県浜松市にこれまでの集大成となる「クシタニ本店」を9月半ばにオープンさせた。
もしかすると、もう本店を訪れた方もいるかもしれないが、取材時はオープンのしばらく前。まだ空っぽの店内で、クシタニの櫛谷淳一さんとクシタニ東京の櫛谷信夫さんご兄弟に話を聞いた。

編集部　本店を構えるという構想は、いつごろからあったんですか？

櫛谷淳一（以後、淳一）　20年くらい前まで別の場所に路面店があったんですが、景気が悪くなってきて、どこかを借りるより本社のところにお店を出そうということになったんです。でも、5年くらい前からだんだんそこも手狭になったから、外に出ようという話になって。

櫛谷信夫（以下、信夫）　元は本社の工場の営業所みたいなところでしたからね。本店は、浜松だからやれることがある、という信念から始まったんです。それでここの敷地を紹介されて、ここでやれることをとやろうと決めました。

編集部　浜松だからできることがある、というのは具体的にどういうイメージなんでしょうか？

信夫　創業から75年以上経ち、改めて“原点回帰”みたいな機運がある今、クシタニがどうやってここまで来たのかを発信しようとすると、新しくできた横浜や東京の店ではなく、クシタニが始まった場所でやりたいと思ったんです。
今回、本店内に再現した“櫛谷商店”も元の場所に同じものを建てることもできたんですが、広い土地を確保できたし、本店のなかに再現しようという話になったんです。何か象徴的なものを作りたかったというか、自分たちへの戒めではないですが、創業者である祖父の教えを忘れないようにしたいという意味もあります。

創業の地、浜松に

編集部　それでもこういったショップ・イン・ショップなんて発想はなかなか出てこないですよね。

信夫　バイク用品店のイメージってありますよね。整然と用品が並んでる、みたいな。それが嫌だったんです。来てくれたお客さまにはワクワクしてもらいたい。品の良さは保ちつつ、雑貨店のようなワクワク感を、と考えてこうなりました

編集部　ただ、路面店って、ふだん量販店にしか行かないライダーや初心者、若い子だと、入りづらいのでは、とも思うのですが……？

淳一　今はSNSなどで雰囲気を感じてからお店に来てくださる方が増えてきたので、昔よりは入りやすくなったのかなとは考えています。

信夫　自分も、バイクディーラーに用事はないのに立ち寄るなんてできないですもん。それは敷居が高いから。でも僕らだって同じで、用品ブランドの中でも価格が高い部類だし、店舗もコンパクト。そこにスタッフが何人かいて、入るとマンツーマン状態になりがち。そう思うと入りづらいですよね。なのでその敷居を下げるために、クシタニではSNSを駆使して、中の情報をどんどん発信しているわけです。

編集部　最後に、本店という存在が持つ意味とは何なのでしょうか？

淳一　本店と付くからには、何店舗もある中で一番輝いていなければいけないという思いはあります。今のスタンダード、トップの店という位置づけ。創業の地、浜松にあるという重みもありますよね。

信夫　家系ラーメンでいう吉村家のように、枝分かれしていく前の大元の存在ですからね（笑）。自分たちがやりたかったことが全部詰まった場所なので、オープンが楽しみです。そして、コロナが落ち着いたらモトナビカフェやりましょうね！

編集部　ぜひ！お願いします！

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なお、最後にクシタニ会長である、櫛谷久さんのコメントも紹介しよう。
「櫛谷商店はよく再現できてると思います。1964年ごろのイメージですね。当時まだ私も小学生くらい。横や奥に増築しながらこの建物は長く使っていました。会社としては90年代に60店舗くらいあって、スタッフも大勢いたけど、紆余曲折あって20人くらいになったりもしました。クシタニは浜松で皆さんのツナギなどを作らせてもらって、そこから成長してきた会社です。本店の近くにある浜松まつり会館も面白いところなので、ツーリングがてらぜひ立ち寄ってみてください」