インディアンFTR R カーボンはカッコいい
インディアンFTRはかっこいい。だから欲しくなる。
バイクを選ぶ理由なんて、それくらい単純でいいと思う。
text_HIGOSHI SHOTA(Moto NAVI) photo_MIURA TAKAAKI
グッドルッキング・ガイ
先日、ホンダ・シビック(前モデル)の若い女性オーナー数人を取材する機会があった。別々のタイミングで話を聞いたのだが、面白いことに3人とも同じ理由でそのクルマを選んでいた。それは、「カッコいいから」。歴代シビックがどんなクルマだったかなんて知らないし、興味もない。聞けば、名前は聞いたことがあったかもしれない、という程度。たまたま通りがかったディーラーにあるのを見て買った。CMやネットで見てカッコよかったから買った。ただ、目の前のこのクルマがカッコいいから好き。好きだから買った。愛車選びなんて、それでいいのだ。
インディアンのFTRシリーズを語るうえで、そのカッコよさというのはFTRの魅力を構成する大事なファクターのひとつだろう。もちろん、インディアンのダートトラックレーサー、FTR750の活躍にあこがれてFTRシリーズに興味を持った人もいるだろう。どこかで試乗して、その1203cc水冷Vツインエンジンに感銘して選んだ人もいるだろう。きっかけはなんであれ、要はただ単に見た目が好きで買った、というライダーをどうか否定しないでほしいのだ。ほら、少し前に巷を賑わせた芸人、おぼん・こぼんの一件を知る人ならピンとくるだろうけど、人間、歳を重ねると頑なに自分の意見を通したくなるものだから。と、自壊の意を込めておく。友達と同じバイクに乗るなんて自分では考えられないけど、いまの時代、それがいいという若いライダーは多い。感覚は変わるもの。時代に合わせてアップデートするところはしていかないと。
そんな見目麗しいFTRシリーズだが、2022年モデルから大きく変わった点がある。それは足まわり。フロント19インチ/リア18インチから、前後ともに17インチへと変更された(FTRラリーは変更ナシ)。FTRという名前とは裏腹に、オンロード志向を強めている。本国ならいざ知らず、おそらく日本のユーザーの大半はオンロード走行がメインだろうと思うと、この変更はタイヤの選択肢が広がる朗報と言えよう。合わせてサスペンションのセッティングもストリート向けに再設定されたので、より快適に気持ちよく、FTRのハンドリングが堪能できるはずだ。
事実、以前のモデルと比べると、よりネイキッドバイクの基本に立ち返った素直な走りとなっており、17インチとなったことで足つきも上々(身長177cmの著者の場合だと両足ベッタリ)。これまで以上に乗り手を選ばない懐の深い一台へと進化している。
ライダーが望むすべてを満たして
個人的にVツインエンジンが好きなこともあるのと、FTRのものは低回転からしっかりトルクがあるので、そのトルクを活かして加速するキビキビした走りがとても気持ちいい。今回の試乗は昼間のみだったが、夜間の空いた幹線道路をラフにアクセル操作しながら流すと、さぞいい気分に浸れるに違いない。ただし、アクラポビッチの端切れがいい排気音とVツインの鼓動感に身を任せすぎると、あっという間に制限速度いっぱいになるのでくれぐれも注意したい。
また、地味ながら見逃せないのが、アイドリング中のリアシリンダー休止機構。これにより停車中はエンジンからの熱が抑えられ、全く熱くないとは言わないが、十分耐えられる程度にはなる。Vツインエンジンのあの熱さを知っているライダーなら、この機構の偉大さがわかるはずだ。
ちなみに今回試乗したFTR R カーボンは、FTRシリーズにおける最上位モデル。先述したアクラポビッチのエグゾーストのみならず、Bluetoothを備えたタッチスクリーンディスプレイに3つのライディングモード、リーンアングルスタビリティコントロール、コーナリングプレコントロール付きABS、ウィリーコントロールなどの電子制御が特盛レベル。加えて足まわりをフルアジャスタブルのオーリンズ製サスペンションで固め、さらにはその名の通り、タンクカバーなどにカーボンを奢るなど、まさに一分のスキもないトッピング全乗せ仕様といえる。
走りの良さ、そして安全性、快適性、所有感。ライダーが望むすべてを満たすと言っても過言ではないだろう。
どのようなバイクをカッコいいと思うかは人それぞれであるし、世代や年齢によってもその尺度は異なる。そもそもスペックや実用性重視で、見た目なんて気にしないというライダーもいるだろう。とはいえ、FTRはそんなものさしをぶっ壊すくらい、多くの人にカッコいいと思わせる力がある。美人は3日で飽きる? そんなことあるわけない。FTRが最良の伴侶として、それを明白に証明するはずだ。
INDIAN FTR R CARBON
●サイズ=全長2223mm×全幅830mm×全高1295mm ●ホイールベース=1525mm ●シート高=780mm ●タイヤ=前120/70ZR17 58W、後180/55ZR17 73W ●タンク容量=13.0L ●車重=232kg ●エンジン=1203cc 水冷V型2気筒 ●最高出力=――ps/――rpm ●最大トルク=120N・m/6000rpm ●価格=2,488,000円~
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