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北のボ日記 #11「北西のバイザーを取れ」

20万円で手にいれたS80にボディコーティングを施すことに。
しかし、その前にあちこちにある傷をどうにかしないと……。
ん? ほかにやるべきことがあるだろう? そりゃそうなんですけどね。

文と写真/淺川覚一朗

というわけで、唐突ながら我がボルボS80にボディコーティングをすることにしました。
20万円で手にいれたご老体には、過分のケアかもしれません。でも、色々考えてのことです。
ひとつは、車齢15歳とはいえ、フラッグシップサルーンなんだから、それ相応のプレゼンス、アピアランスを保ってあげたいと思ったことです。

これは、周りにいくらでも反面教師が走っています。ボディがいつも汚れているとか、バンパーが凹んでいるとか、そういうことはもちろん、例えば、Sクラスやレクサスに廉価版のタイヤを履いているような乗り方も、それは野暮天じゃないか、という話です。

なんてことを偉そうに言ったところで、当のアサカワのボルボのバンパーに傷があるわけですよ、ザーックリと。前オーナーがガレージの壁に擦ったあと、テキトーにスプレーを吹いた「黒い傷跡のブルース」ですよ。

もちろんこのままコーティングに出すわけにはいきません。
こういう軽い塗装をどこにお願いするべきか、地元美唄市イチの旧車エンスー、エス氏に尋ねてみたところ、一言「イエローハット」と。

──え?

なんでも、ここの「車検センター」の工場長の腕がピカイチで、板金はもちろん、エアロパーツの修復なども任せているというからびっくり。そしてこの通り、ツルツルになって帰ってきました。
美唄の「イエローハット」の工場長は、元はボディショップに勤めていた腕利きだったとのことで、色々納得。

そして、ボディ周りに手を入れるということで、今まで気づかないフリをしていた大問題を直視しなければいけません。このクルマ、なぜかサイドバイザーが助手席ドアだけについてます。そして、他の3枚のドアについているドアエッジモールは、無い。

はい、もうおわかりですね? このクルマ、僕が少なくとも5人目のオーナーなんですが、3人目までのどこかで、左フロントをグッシャリやってて、ドアに至ってはドナーからの献体を受けているということです。

前回、水の侵入で腐っていたことがわかった左ヘッドライトユニットも、その影響かも?
風水では、クルマの進行方向を北、後ろを南と考えるそうですが、このS80は北西が鬼門、ということで間違いないでしょう。
これを機会に、バイザーは綺麗さっぱり取り去ってもらいます(頭がぶつかるし、本当に邪魔でした)

北のボ日記 #10
セカンドオピニオンと球切れとネガティブケーブル

そのヘッドライトの交換は、困りました。頼りのホームドクター、江別の「テックプラス」のエム氏も「当店では優良品の取り扱いが御座いませんでした」とスルー(もちろん純正部品なら発注できるけどとんでもない金額になります)

ネットオークションやフリマでも、状態の良いものなら数万円はします。そして、ライトだけのものがほとんどで、制御ユニットの出品はほぼ無いのです。ほんとに困りました。
そんなときに見つけたのが、滋賀県のボルボ専門店「レイクウインド」のブログです。
S80の同じ型の部品取り車が出ているということで、尋ねてみました。お値段の関係で、ここでは制御ユニットだけをお願いすることにします。

レイクウインド
「ボルボS80 3.2 部品取り車入庫しました」

ヘッドライトの方は、ネットオークションで相場の半分以下のものを見つけました。しかし、安さには理由があるわけです。クリア塗装に細かなヒビ割れが走っていて、いかにも左前的にガリっとやった傷もある。

そしてここで頼りになるのが、今回コーティングをお願いする「ミカピカ札幌」が、我が主治医「テックプラス」の別チャンネル、ということです。ユニットの脱着などなどの作業も安心して任せられます。全体を研磨して、ビカビカに仕上げてから、コーティングの作業に入ってもらいます。

「あー、でも、さすがに前オーナーが傷だらけにしたドアミラーは無理ですよね?」
「……ギリギリまで攻めてみます!」
結果は、無理でした! ここはいずれDIY塗装にチャレンジしてみます。割れてるウインカーレンズも手配しなきゃ(もちろん車検に通りません)

ボディをケアする前に、手をつけなければいけないところが多々ありすぎるのはわかっているのですけれど……「ああ 今日も 空が……青い」(札幌市「モエレ沼公園」)

著者紹介
淺川覚一朗
じつは旧「NAVI」当時から隅っこで描き続けている古株。「Moto NAVI」では「バリ伝」「ララバイ」のストーリーボードを書いたり、現在は書評「Moto Obi」を連載中。ライター稼業の一方で、北海道美唄市の「地域おこし協力隊」として業務委託を受け、同市の“役場の人”として街おこしに取り組んだり、観光情報を発信中。