MOTORCYCLE

40半ばのシェフがおんぼろバイクでサーキットを目指す件 #11

4年後の糖尿リスク80%のトミヤマ(元モトナビ編集部員で、
いまはイタリアンシェフ!)のレストア日記。
元気があればなんでもできる! はずなのに……?

文/冨山晶行 写真/後藤 武、冨山晶行 アドバイザー/後藤 武

で、実際グラインダー使ってみた!

※前回までの流れはこちらでチェック
40半ばのシェフがおんぼろバイクでサーキットを目指す件 #10

組み上げたものをもう一度解体するって、やらなきゃいけないことは解っていても、ちょっとテンションが下がっちゃう。あのシャキッとしたレーサーが、今やホネホネロック(ググってね)なフレーム姿。「これまでは職人さんたちにやってもらっていたけど、ついにトミー自身が作業する番が回ってきたな」と、ちょっと嬉しそうなゴトーさん。
フレームの不要部分をカットするため、ディスクグラインダーの使い方を数々の失敗と共に伝授してくれた。まず、目に削った金属が刺さらないようにゴーグルは必須。金属片がエンジンに入らないよう、各部養生すべし。夢中になりすぎてグラインダーのコードを切断しないように気を付けるべし、等々。一体どれだけ失敗してきたのだろうか、と一瞬引いてしまったが、その経験を伝授してくれるなんて、ゴトーさん、素直にありがたいっス。

で、実際グラインダーを使ってみると、これが結構むずかしい! 火花も盛大にでるし、グラインダー自体も結構重いし、切りすぎかと思っても、意外と進んでいない。これ、けっこう大半な作業なんじゃない? と思ったケド、いまさらそんなこと言っても仕方がない。作業時間も日が出ているうちにやらないと、近所からクレームがきそうだ。
結局、ランチ後の店の休憩時間にガレージにこもり、また店に戻る、の繰り返し。土日はどちらか1日だけ家族を説得して作業した結果、1ヵ月強でカットは完了。

➀フレームから不要なステーをカットしていく。必要な部分を切らないよう、カット箇所はゴトーさんが緑の養生テープを貼っておいてくれた。この時点では、切るだけだしサクッと終わるっしょ、と甘く考えていた。②上から時計回りに電動ディスクグラインダー、ゴーグル、切断砥石、カッ プワイヤーブラシ。削った金属片が目に入ると一大事! 簡単には取れないので、ゴーグルは必須。カップワイヤーブラシはサビ落としに。③思ったより激しい花火にオジサンビビる。グラインダー自体も結構重いし、回転方向に引っ張られるのでかなり神経を使う。騒音も結構なレベルで、作業時間に気を付けないと地域住民から苦情がくるかもしれない。④3、40分かけて不要部分を大雑把にカット。だが、その下はサビサビでショック! 残った部分は溶接部だけを削ってフレームから剥がすように削るんだって。全箇所やったらどんだけ時間がかかるんだ……。

⑤店の休憩時間を使ってステーを切り落とし、重曹ブラストは諦めてワイヤーブラシと薬品でサビを落としたフレーム。ゴトーさんから借りた電動サンダーで全体にヤスリをかけて、シリコンオフで脱脂する。⑥プライマーを吹いて下地処理をする。ゴトーさん曰く、塗る時は複雑な場所から先に塗っていくのがコツだそうだ。床に置きながら作業したためやりにくい。仕方なくフレームの上側、下側と2日に分けて行なった。⑦フレームの塗装には、デイトナの耐ガソリンペイントを使用。ウレタン塗装は2液を混ぜたら迅速に塗装しないと、20分ほどで硬化が始まるとのこと。防毒マスク着用と合わせて、作業前からビビらせてくれるぜ~。⑧迅速に1回で塗装するために悩んだ末、フレームとスイングアーム、エンジンマウントを天井からワイヤーで釣って作業。この後、体調不良で作業中断。⑨ブレーキの製作を依頼したミヤシタモータースさんへの搬入日が迫る!体調不良の波間を見計らって、フロントサスペンションとスイングアーム、リアサスペンション、ステップを写真と記憶を頼りに、根性で取り付けた。

健康だからこそ許されるもの、それは趣味

ゴトーさんから年末にフレーム塗装のレクチャーを受け、1月末にはエンジン掛けたいなんて話していたけど、そうは問屋が卸さなかった。
1月某日、閉店作業もあらかた終わった深夜に突然の腹痛に襲われ、気が付いたら夜が明けていた。痛みで気絶したのだと気が付いて、何とか起き上がって救急へ。
「どうやらウィルス性胃腸炎のようです。疲れと寝不足、あとはストレス値が高いですね。お薬出しますので、ゆっくり休んでください」。で、完全復活まで1ヵ月もかかってしまい、各方面にご迷惑をおかけしました。

おまけ「中華ノズルと重曹と高圧洗浄機でブラストできるかな?」

こんなのあるよと教えられた高圧洗浄機と重曹を使ったウェットブラスト。簡単に言うと、粒状のメディア(この場合重曹)を高圧水流で吹き付けてサビや汚れを落とすというもの。通常は高い専用機材が必要なのだけど、とにかくやってみた。

➀アマゾンでポチった¥3,749のサンドブラスターキット。商品説明のチャイナ感あふれる日本語がまたナイス。ノズルをケルヒャーに接続し、ホースは重曹に突っ込むようだ。②重炭酸ナトリウム、またの名を重曹。なので、大気放出しても流してもほぼ無害。職権乱用で、なじみの業者さんに注文したらこれが届いた。1袋25kg。業者かよ! 業者か。③高圧洗浄機といえばケルヒャー。厨房の床や排水管の清掃のために自分の店で使っていたものをちょっと拝借してきた。床掃除用のデッキブラシが付いて¥30,000くらい。④ノズルに同梱されていたチューブが折れ曲がっていて、重曹の吸い込みがBAD! ホームセンターで買ったチューブと交換したがいまいち吸い込みが悪い。そこでペットボトルを使って落下式に改造してみた。

結果、サビが落ちるは落ちるけど、かなり不安定。どうやらノズルから逆流した水が重曹を湿らせて、ノズル内で固めてしまっている様子。A4の面 積をブラストするのに2時間といったところ。フレームなら手や薬品でサビ落としした方が速いかも。

次回はフロントブレーキに手を付けます!
お楽しみに!