北のボ日記 #0「さようならBMW、こんにちはボルボ」
縁あって格安でボルボS80を手に入れてしまったライター、アサカワ。
王室御用達の一台と過ごす庶民の悲喜こもごもを北の大地よりお届けする。
初回は、ここに至るまでの経緯をご説明するところから始めましょう。
文と写真/淺川覚一朗
「北のボ日記」というなんとも奇妙なタイトルの連載が、当Webサイト「Moto NAVI Cars(MNC)」で始まります。
この「MNC」の成り立ちをザックリ説明すると「二玄社のクルマ雑誌のカーグラじゃない方」だった「NAVI」の嫡流の情報サイト、ということになります。
かつて、神田神保町の二玄社では、自動車誌を二誌発行していました。ひとつは、先頃創刊60周年を迎えた「CAR GRAPHIC(カーグラ)」で、もうひとつが「NAVI」です。現在「カーグラ」は別会社に発行が引き継がれていますが、「NAVI」も同様、二玄社当時のスタッフが二輪誌「Moto NAVI」と自転車誌「Bicycle NAVI」を引き継ぎ、自動車誌の「NAVI CARS」を立ち上げました。その後、現在の体制となり、紙の雑誌として発行されているのは二輪誌の「Moto NAVI」で、自転車と四輪の“成分”は、この「MNC」が担当しています。
これまで、Webサイトとしての充実がなかなか進んでいませんでしたが、ついに! 四輪コンテンツ初の「連載」として始まるのが、この「北のボ日記」です。
筆者のアサカワは、二玄社当時から「カーグラ」「NAVI」で書いていた、クルマ方面で“文化的雪かき”をしてきたライターで、「NAVI CARS」創刊後に声をかけられ、その後、三誌それぞれに記事を書いてきました。現在は「Moto NAVI」誌で書評記事「Moto Obi」を連載中です。
――そして、「北のボ日記」です。
これは昨年、スウェーデン王室御用達のショーファードリブン「ボルボ S80」を手に入れてしまった貧乏ライターの、悲喜こもごもというか、笑っちゃうくらいに続く災厄の記録です。
「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」と言いますが、そもそもS80が僕のところに来ることになったのも、災厄と偶然の帰結でした。
我が愛車BMW 316ti(2002年型 E46/5)は翌月が車検でした。そんなタイミングでブレーキパッドの警告灯が点灯。四輪全てのパッドとローターが要交換でした。しかもDSCがセンサー等々の不具合で動いてない。ブレーキ周りだけで30万の見積もりです。もちろん車検の整備代や自賠責などなどは別の話です。
さらに、チェックエンジン点灯の満艦飾! アイドリングの息継ぎはプラグを交換してもダメでした。おそらくはイグニッションコイルでしょう。
──このクルマ、どうします? そもそもこのクルマ、買取の一括見積もりサイトで「0円査定」されてた不人気車です、10年前に。
そして、まさにそのタイミングで「おう、アサカワ! 誰か俺のボルボ買うやついないか?」と声をかけられたわけです。
いや、そこで買っちゃったんですよ、巨大な14年落ちのオールドレディーを……だって、20万円だったから。
そして、この物語が始まります。というわけで「ちょっと古いボルボの話」に、おつきあいください。
決して状態は悪くないし、走行距離も少なかったのにゼロ円査定だった316tiは、10年経って2万5千円にランクアップしていました。換金処分出来そうなCDチェンジャーやアルミホイール等々を外して、余っていたスチールホイールを履かせてドナドナです。
ここ北海道では、融雪剤の影響で下周りの錆が悩みの種なのですが、きれいな状態だったのは流石のBMW、国産車ではこうはいきません。でも、メンテナンスハッチ、いつの間にか落ちてたのか……。
■ 著者紹介
淺川覚一朗
じつは旧「NAVI」当時から隅っこで描き続けている古株。「Moto NAVI」では「バリ伝」「ララバイ」のストーリーボードを書いたり、現在は書評「Moto Obi」を連載中。ライター稼業の一方で、北海道美唄市の「地域おこし協力隊」として業務委託を受け、同市の“役場の人”として街おこしに取り組んだり、観光情報を発信中。