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2016.06.12

ヒーローもかつては少年だった

MOTO NAVI創刊15周年特別企画「モーターサイクル・ヒーローズ」10,11_阿部典史&加藤大治郎

日本人ライダーは速い-。そんな夢を見せてくれた二人のライダー、阿部典史と加藤大治郎。足早に時代を駆け抜けた二人の足跡をたどるべく、サーキット秋ヶ瀬の代表で、少年時代の彼らを知る本山知己さんに話を聞いた。

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「もうけっこう昔のことだからね、俺も忘れちゃったよ」と笑うのは、埼玉県にあるサーキット秋ヶ瀬の代表取締役、本山知己さん。本山さんもまた、両親が営んでいたこのサーキットで育ったライダーのひとりで、これまで数多くのライダーを見てきた。そのなかのひとりが、後にGPライダーとして世界で活躍する加藤大治郎だった。
「もともとこの秋ヶ瀬って、ポケバイ専用のコースだったんです。そこに4歳くらいの大治郎が来るようになってね。たまたま当時、あいつの実家が近くにあったので、お母さんに連れられてやってきた。それがきっかけですね。ポケバイは3歳の誕生日プレゼントとして買い与えたという話は聞いてるけど、どうしてそれを選んだのかはわからないですね。お父さんがバイクに乗られてたわけじゃなかったはずだし……。はじめのうちは怖がって乗りたがらなかったらしいですよ」

norik_2ロングヘアがトレードマークだったノリック。ヘルメットの下からのぞくその髪に憧れたファンは多かった。写真は96年のWGPの第3戦日本グランプリ。82年の片山敬済以来、14年ぶりとなる500ccクラス優勝を飾った。

 当時はまだ本格的なバイクブームの前ということもあってか、その年齢でポケバイに乗っている子は珍しかったという。
「ここに来る子のなかでも、大治郎はぶっちぎりで幼かったから、そのころの印象と言ったら〝ちっちゃくてかわいいな〞って感じしかないんです(笑)。本当にひとりだけ幼い子でしたから。ただ、大治郎が通うようになった翌週か、その次の週くらいには、あいつと同い年の亀谷長純(全日本ロードレース選手権などで活躍したロードレーサー。大治郎の従兄弟にあたる)も来るようになったんです。それから大治郎はお母さんに連れられて、毎日のように来てた……というより。連れて来られてましたね(笑)。しばらく小さい子は大治郎と亀谷とふたりだけだったんだけど、2年くらい経ったころから武田雄一(チームカガヤマ所属のロードレーサー)とかも来るようになって。途中で辞めちゃう子やミニバイクまでは行かなかった子も多かったけど、そのころから徐々に子供たちが増えていきました。ちょうど80年代のバイクブームと言われる時期に差し掛かってきてたから、バイクに乗っているお父さんたちが子供にポケバイを買い与えていたんでしょうね。なかには〝レーサーになる〞という自分ができなかった夢を子供に叶えてもらおうという人も多かったんじゃないですかね」

daijiro_1美しいライディングフォームと卓越したテクニック、そしてなによりその人柄で多くのファンに愛された大治郎。写真は03年のMotoGP日本グランプリのもの。なお、現在はゼッケン74は永久欠番となっている。
 
 巷のバイクブームと連動するように、ポケバイシーンもかつてない盛り上がりを見せた80年代。切磋琢磨しあう子供たちのなかで、大治郎少年にはある有利なポイントがあったのだが……。
「多少なりともお金がかかる競技である以上、サーキットと家が近いというのは大きかったと思いますよ。普通の子はなかなか毎日は来れませんから。大治郎は毎日来ていたものの、別に練習していたわけじゃないんです。実際はここに遊びに来てただけ(笑)。幼いころはそれほどバイクに熱中していたわけじゃないみたいで、お父さんに行け行け言われるからしょうがなくやってきてる感じ。走らずに、よくそこらへんで遊んでましたからね(笑)。反抗期というわけじゃないけど、親にあれをやれ、これをやれと言われると、その逆のことがやりたくなるというか……。お父さんに強制されると乗らなくなるのに、僕たちだけしかいないときに、〝大治郎、ちょっとバイクに乗ってこいよ〞なんて言うと、すぐに乗りに行く。だから決してバイクが嫌いだったわけではなくて、親に勉強しろって言われるとやる気がなくなる……みたいなものだったんだと思います。そういうところは、ほかの子と何も変わらなかった。夕方になるとお母さんが学校まで迎えに行ってここに連れて来るんだけど、お母さんは大治郎に細かくああしなさい、こうしなさいと言う方ではなかったから、本人は学校が終わって公園に遊びに行くような感覚だったのかもしれないですね。今でこそ秋ヶ瀬はカートでも走れますが、昔はポケバイ専用だったから、曜日や時間に関係なく、いつ来ても自由に走れたんです。平日はそんなに走りに来る子もいませんでしたから、乗りたいときに乗れたんでしょう」

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norik_1NORIFUMI ABE_阿部典史
1975年、東京都出身。父親の影響から5歳でバイクデビュー。91年、15歳で渡米し、ダートトラックやモトクロスに打ち込む。帰国後の93年には全日本ロードレース選手権を史上最年少の18歳で制覇した。94年からはWGP、MotoGPを経て、SBKなどでも活躍した。07年、不慮の事故により他界。享年32歳。

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DAIJIRO KATO_加藤大治郎
1976年、埼玉県出身。ポケバイ、ミニバイクを経て、94年に国際A級に昇格。96年の日本グランプリ250ccクラスでWGPに初参戦し、01年には同クラスで優勝を果たした。ジュニア世代のライダー育成にも熱心に取り組んでいたが、そのさなかの03年、MotoGP日本グランプリ決勝レース中の転倒事故により他界。享年26歳。

写真/赤松 孝(レース)、高柳 健(インタビュー) 
写真提供/デルタ・エンタープライズ

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