MOTORCYCLE

ライダーのための観葉植物入門

ガレージの魅力をアップさせるにはどうしたらいいか? その答えは観葉植物にあり!
モトナビ編集部イチオシのボタニカルなガレージライフの始め方を、
専門店スタッフのオススメ植物を軸にたっぷり紹介します!

文/日越翔太(MotoNAVI) 写真/三浦孝明

バイク好きだからこそハマる!? 深淵なる観葉植物の世界

知っている人は知っているし、知らない人は知らないが、世はまさに空前の観葉植物ブームである。大抵の物事はそうだろうよというツッコミはさておき、コロナ禍で外出しづらい日々が続いた結果、室内で緑を楽しもうという機運がいままでになく高まっているのだ。
そこでMoto NAVIではガレージで植物を愛でるという新しい生活様式ならぬ、新しいガレージライフ様式をここに提案すべく、東京は江戸川区にある観葉植物専門店、ワールドガーデンの門を叩いた。
なお、今回は「ガレージに観葉植物を置くなら」という条件で同店のスタッフさんに9種の植物をチョイスしてもらった。いずれも日当たりが多少悪くても問題なく、初心者でも育てやすいものばかり。どうしても工業製品が多くなりがちなガレージだけに、ちょっとした植物でも映えることは間違いない。
想像以上にディープな観葉植物の世界。これ、凝り性のライダーなら間違いなくハマります。

バイクを超える(!?)存在感/ツピタンサス

■ 特徴 厚みがあり、濃い緑色でツヤがある葉が印象的。個体によって樹形が違う(曲げて育てられる)ので、自分の好みや置き場所にあったサイズをしっかり吟味したい。大木にはならないので、日本のガレージ事情、住宅事情にもよく合う。
■ 原産地 アッサム・マレー半島 東南アジア熱帯雨林気候区
■ ポイント 日当たりがよい窓辺などが最適。最低気温が5℃以下にならないように注意したいが、エアコンの温風が直接当たるような場所は避けること。水は土の表面が乾いたら鉢底から出るまでたっぷり与える。霧吹きで葉に水をかける葉水も忘れずに。
■ ライダー的みどころ ヤマハSR、ファイナルエディションのガソリンタンクを思わせるツヤツヤの葉がたまらない。ガレージでバイクのそばに置いても、存在感では負けない。

リゾート地のガレージに変身!/ストレリチア・オーガスタ

■ 特徴 一枚一枚の葉がとても大ぶりで、バナナの葉を思わせる形状が南国風で面白い。病気に強く、丈夫なので初心者でもとても育てやすい。
■ 原産地 マダガスタル アフリカサバナ気候区
■ ポイント 葉が大きく横に広がっていくので、スペースに余裕がある場所だと育てやすい。日当たりは必要だが、直射日光には注意したい。日照不足だと葉が開かないことも。まれにハダニやカイガラムシ等の害虫が発生することがあるので、葉水で予防するとよい。水は土が乾いたときにたっぷりやること。冬場は水やりの頻度を減らし、最低気温が5℃を下回らないようにすること。
■ ライダー的みどころ 大きくて包容力がある派はまるでハーレーのヤッコカウル!! 大ぶりな植物がひとつあるだけで空間が劇的に華やぐのは周知の事実。実際、目にして確かめてほしい。

赤黒い葉が男ゴコロをつかむ/フィカス・バーガンディ

■ 特徴 別名「黒ゴム」や「ロブスタ」などと呼ばれるほど、大ぶりの赤黒い葉がインパクト大。比較的、男性からの支持が厚い。しっかり太陽光が当たる場所で育てるほど、葉の色が濃くなる。かなり丈夫な性質でとても育てやすい。
■ 原産地 インド
■ ポイント 半日陰(直射日光が当たらない明るい場所)でいいが、日光が不足すると葉の色が薄くなったり、葉が長く間伸び(徒長)するので注意したい。最低気温が5℃を下回らないよう気をつけるのはもちろん、風通しも良い場所を探したい。葉にホコリが付いたら、ウェスで拭き取ること。
■ ライダー的みどころ ドゥカティレッドに勝るとも劣らない赤みがかった葉が何よりも印象的。いや、あれはもっと明らかに赤いというか赤か。それはさておき、しっかり葉水して害虫から守ってやろう。

ゆっくり育てて、なが~く愛す/ビロウヤシ

■ 特徴 うちわのように広がった大きな葉は南国ムード満点。伸びてくると葉先が垂れ下がり、ビジュアル的にもほかの植物とは違ったシルエットで楽しませてくれる。成長スピードがゆっくりなので、今の姿を長く楽しめるのもうれしい。
■ 原産地 東南アジア、沖縄
■ ポイント 名前通りヤシ科の植物だが、その名前の印象とは裏腹に直射日光にはやや弱く、夏場だと葉が焼けてしまうので注意したい。また同様に名前のイメージと違って耐寒性は高いが、冬の窓際などやはり気温5℃以下になるようなところには置かないほうがベター。
■ ライダー的みどころ 最近のスーパースポーツのカウルを思わせるシャープな葉先にうっとり。葉柄(茎との接触部分)にはトゲがあるので注意。美しいものにはトゲ。これ定説です。

シャープな葉先にメロメロ/ユッカ

■ 特徴 別名「青年の木」と呼ばれ、上に向かってまっすぐ葉を伸ばす姿は力強くさわやか。そのイメージのよさから新築祝いや開業祝いなど、新たな門出を祝う贈答品としても人気が高い。
■ 原産地 メキシコ南東部 アメリカサバナ気候区
■ ポイント とても丈夫で育てやすく、耐寒性が高いので、東京以西の太平洋側など降雪が見られない地域であれば屋外でも越冬できる。耐陰性があるので比較的暗い場所でも育つ一方、直射日光でも問題ないユーティリティプレイヤー。とはいえエアコンの風は避けたいところ。水はたっぷりやろう。
■ ライダー的みどころ マン島のグースネックコーナーもビックリのくねり具合にカッコカワイイ宣言! 葉のシャープさとの対比に思わずコーフンするライダーは多いはず(編集部の偏見)。

すばらしきディテール/ドラセナ・カンボジアーナ

■ 特徴 幹の上部から天を衝くように伸びる若い葉が、なんともシャープで優雅な印象。成長とともにカールして垂れてくるので、その変化を楽しむのもいいだろう。人気が高いド定番のドラセナ属ではあるが、こちらのカンボジアーナは流通量が少ない品種のため希少性が高く、所有欲がくすぐられる。
■ 原産地 東南アジア
■ ポイント 耐陰性はあるが、できるだけ日当たりがいい場所に置きたい。葉が黄色くなるのは日光不足なので注意。冬場は窓ガラスのそばなど、昼夜の寒暖差があるところも避けたい。水は土が乾いてきたらたっぷりやろう。やりすぎには注意。
■ ライダー的みどころ 気根(土の中ではなく、茎から生えた根のようなもの)の造形は、4気筒エンジンから伸びるエキパイのように美しい。いや、2気筒も単気筒も、そして6気筒も美しいのだけれど。

イッキにトロピカル化!/トックリヤシモドキ

■ 特徴 沖縄では街路樹として植えられることもある丈夫なヤシ科の植物。幹が膨らんで徳利っぽい形状になるのがトックリヤシで、こちらは膨らまないのでトックリヤシモドキ。好きで似てるわけじゃないのにかわいそうな名前……。
■ 原産地 インド、マスカリン諸島
■ ポイント 比較的大型の観葉植物ながら(最大で10mほどになる)、鉢を大きくしなければ室内で問題なく育てられる。また、そのサイズのわりに比較的リーズナブルなので大型の観葉植物が欲しいなら狙い目。ヤシという名前とは裏腹に直射日光には強くないので、特に夏場は注意したい。
■ ライダー的みどころ 鮮やかなグリーンの葉が茂るのはなんとも鮮やか。ライムグリーンのカワサキ車と並べて、グリーンの色味の違いを楽しみたい。それもまた男カワサキの嗜み。

あの映画を思い出すいい名前/アフリカンプリンス

■ 特徴 アフリカから来た珍しい植物。「星の王子ニューヨークへ行く」を思い出すネーミングが秀逸。現在は保護植物に指定されたため、日本への輸入は禁じられている。それもあって国内での流通量が少なく、希少性が高い。もちろんワールドガーデンで販売されているものは、日本国内の農園で栽培されたものなので安心して購入してほしい。
■ 原産地 東アフリカ
■ ポイント 丈夫で育てやすいフィカス類のなかでも、特に強くて育てやすいため初心者にオススメ。耐陰性があるので明るい日陰でも問題なし。耐寒 性もあるが、気温5℃は下回らないようにしたい。
■ ライダー的みどころ 葉も幹も力強く、たくましい。ここはぜひアフリカツインとともに並べ、彼の地の風を感じたいところ。こりゃ間違いなく絵になるわぁ……。

定番かつ王道/サンセベリア ケニア、サンセベリア ボンセレンシス、サンセベリア ブルーキュー

■ 特徴 多肉植物のようなぷっくり水分を多く含んだ葉が特徴のサンセベリア類。乾燥には非常に強く、冬場は月に1度くらいの水やりで十分なほど。比較的手に入れやすく、手入れも簡単なのでズボラライダーならサンセベリア一択だろう。
■ 原産地 熱帯アフリカ
■ ポイント とにかく乾燥に強いので、寒い時期なら数ヵ月も水をまったくやらなくても枯れないほど。水のやりすぎはむしろ根腐れの原因になるので注意したい。写真はすべてサンセベリア類だが、それぞれに形状や希少性、価格帯が異なるので、好みや予算に合わせて自分だけの一鉢を見つけよう。
■ ライダー的みどころ サンセベリア・ボンセレンシス(写真、向かって左から2番め)は珍しい品種ながら入手しやすい。珍車好きならぬ、珍植物好きなら押さえておきたい。

SHOP INFORMATION

ワールドガーデン
東京・小岩にある観葉植物専門店。日本各地の生産者から仕入れた高品質で元気の良い植物が2階建ての店内に所狭しと並ぶ。室内向けの観葉植物だけでなく、屋外向けのものも多くラインナップ。熟練のスタッフが、植物に関するさまざまな相談に乗ってくれるのもうれしい。
東京都江戸川区西小岩5-9-22 ☎03-5668-8701
営業時間11:00~18:30 金曜、不定休(祝祭日の金曜は営業)