いつかのツーリング Vol,1
信州シルクロードをご存知ですか?<後編>
文、写真/高梨達徳(MotoNAVI)
日本の近代化を支えた産業のひとつである「製糸業」の歴史を辿る「信州シルクロード」の旅。前編はこちらその中心であった長野県岡谷市を離れ、諏訪湖のほとりにある上諏訪温泉に向けて進みます。古くから諏訪大社の門前町として栄えたこの街には、甲州街道沿いに5つの造り酒屋が立ち並び、味比べを楽しめる諏訪五蔵がありますが、旅の途中なのでここは我慢。気持ちのいい湖畔沿いの県道を流していると国の重要文化財である温泉保養施設「片倉館」が見えてきました。
製糸業だけではなく、肥料製造や生命保険業をはじめとする様々な事業を展開し片倉財閥を形成した二代片倉兼太郎。シルクエンペラーと呼ばれた彼が、ヨーロッパ諸国を視察に訪れた際に一般市民に向けた厚生施設に感銘を受け、創業50周年の記念に合わせて建設したもの。千人風呂と呼ばれる大理石の浴槽は100人が一度に入浴できる広さです。ここでゆっくり旅の疲れを癒すのもいいですが、シルクロード的な楽しみ方をするならば、建物見学ツアーがオススメ。東京駅を設計した辰野金吾を師事した建築家「森山松之助」が手がけた建物は、1900年代前後のアメリカで発展して行った「ゴシックリバイバル」の要素が多く見られるものの、建設当時に世界各国で様入られた最新の建築技術が施されているそうです。
さて、これまでは信州シルクロードの歴史に触れてきましたが、現在の製糸業は一体どうなっているのか? 気になりませんか? ということで、諏訪湖から南に進み駒ヶ根市にある明治43年創業の老舗「久保田織染工業」へ。こちらでは、伝統工芸品である信州紬の中でも代表的なブランドのひとつである「伊那紬」を作り続けている唯一の機屋(はたや)。その一番の特徴は糸作りから製織まで一貫して行なっていること。草木染に使用している材料は地元で取れたものを使用し、昔からこの地方で伝わる」高機という織り方で作られているそうです。こちらも事前に予約をすれば、一般の方でも見学できるそう。
詳細はこちら 久保田織染工業
駒ヶ根まできたら訪れたいのは、「駒ヶ根シルクミュージアム」。ここでは、信州の製糸業の歴史に加え、蚕の飼育見学や機織り体験なども楽しめまますし、併設されている「レストラン菜々ちゃん」では、地元食材をふんだんに取り入れたバイキングをお腹いっぱい味わえます。
ミューシアムの情報はこちら 駒ヶ根シルクミュージアム
今回前後編に渡ってご紹介したのは、信州シルクロードの中でも南側の一部のみ。上田市や長野市にも広がる歴史ロマンに、あなたも触れてみてはいかがでしょう?
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