北のボ日記 #12「ガラスのコーティング光る時」
プロの手によるボディコーティングなんて、
安価で手に入れた旧いフラッグシップには分不相応なのか……?
クルマを大切にするとはどういうことか、考えたい。
文と写真/淺川覚一朗
というわけで、コーティング作業が始まった我がボルボS80のわけです。
ミカピカ札幌が使用しているガラスコーティング剤「G-POWER」は、防弾ガラス並みの強度のガラス層を形成して、塗膜を保護する浸水膜を形成するものですが、施工の前にはもちろん、入念な下処理が必要になります。
泡洗浄を行なってから
水垢や鉄粉の除去 を丹念に行い、傷などが目立つ部分にはバフがけなどの処理が施されます。 そうしてピカピカに磨き上げられたS80のボディですが 事前の計測によると、欧米車は一般に国産車の倍くらいの塗膜の厚みを持っているものが、ボンネットなど部位によっては半分以下になっている箇所もあったとのことで、車齢15年のダメージはそれなりに蓄積していたということでしょう。ちなみに、この塗膜の細かい計測で、どうやら右のCピラーには再塗装の形跡が残っていることがわかりました。どうしてそんなところ、ぶつけちゃったのかな……まあ、クルマにも歴史があるということです。
ダメージといえば、グリルなどの無塗装樹脂部は白化が目立っていましたが、これも綺麗に磨き上げられます。
また、欧米車に多用されているアルマイト処理されたアルミのモールの白サビも研磨で復活しました。 前回、取り外しをお願いしたドアバイザーも、塗装面ではなくアルミモールに両面テープで接着されていたため、きれいに外すことができました。そしてガラスコーティング剤「G-POWER」が塗布されると、高温のスチームで被膜を厚くさせる作業
で6層の被膜が生成され、この塗布作業を6回繰り返し、更にその上に別のコーティング剤を塗布し、 計37層のコーティング被膜が形成されることになります。また、内装も洗浄や脱脂などのクリーニングが隅々まで行われ、そこにガラス被膜と光触媒で内装を保護する抗菌抗ウイルスガラスコーティング剤が手作業で塗布されます。
そして、完成したのがこの姿です。
なので、今はまだ最終的には仕上がっていないのだけれど、入念な下地処理でツルツルピカピカになったボディは、きらきらひかるというよりは、しっとりと光線を吸収しているような質感を感じさせてくれるのは意外でした。真っ黒のボディカラーと相まって、夜の暗がりだと、ブラックホールが出現したかのような漆黒が出現することに、その度驚かされています。浸水コートが仕上がるこれからが、一層楽しみになる所です。ボンネットに映る空が……しみじみ青くなりました。
前回、分不相応かもしれないコーティングを施行することを決めた理由をひとつお話ししました。フラッグシップセダンらしいアピアランスを与えてあげたかったからです。
もうひとつは、このクルマを、自身の最期まで共にするパートナーと決めて、これから時間をかけて完全な状態に近づけていってやろうという覚悟です。このガソリン6気筒、しみじみ良いクルマですから。
※今回のコーティングの作業の詳細は、ミカピカ札幌のWebサイトに掲載されているので、どうぞそちらもご覧ください。
ミカピカ札幌
s-hokusyo.com/coating/blog/blog.php?page=120
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著者紹介
淺川覚一朗
じつは旧「NAVI」当時から隅っこで描き続けている古株。「Moto NAVI」では「バリ伝」「ララバイ」のストーリーボードを書いたり、現在は書評「Moto Obi」を連載中。ライター稼業の一方で、北海道美唄市の「地域おこし協力隊」として業務委託を受け、同市の“役場の人”として街おこしに取り組んだり、観光情報を発信中。