MOTORCYCLE

大きなアメリカを魅了した小さなHONDA

文/高梨達徳(MotoNAVI)

アメリカ・ラスベガスで毎年11月に開催されている、世界最大のカスタムカーの祭典「SEMA SHOW」。アメリカンカルチャーを代表するホットロッドやローライダー、チョッパーといったカスタムをはじめ、日本の旧車カスタムやピックアップトラックまで揃う50年以上の歴史ある自動車部品の見本市は、カスタムパーツ店やビルダーだけではなく、メーカーも出展してワールドプレミアを行うなど、世界中のメディアやバイヤーがカスタムの流行の最先端を目にする場でもある。というのも、このショーには一般人は入場することができないのだ。にもかかわらず2019年は16万人を超える業界関係者が来場している。そんな、1日ではまわりきることなんてできない大きな会場のHONDAブースに2台のされた小さなバイクが展示され、たくさんの注目を集めていた。

1台目は日本を代表するバイクであるスーパーカブを改造した「City Slicker Super Cub」。手がけたのは、南カリフォルニアのカスタムショップ「STEADY GARAGE」で使用されたモデルは2018年にカブシリーズに仲間入りした「C125」。短くカットされた前後フェンダーと3インチローダウンされた足まわりに合わせているのは、ディスクを2つのリムで挟み込むアルミホイールの中でも最上級品と言われるスリーピースホイールを装着。グリーンとオフホワイトのツートンカラーは、日本ではよく見かける往年の配色だが、125ccでは展開されていない。ヨシムラGPマグナム サイクロン マフラーやDIDのチェーン、KITACOのマスターシリンダーキャップなど、日本製のパーツも組み込まれている。

もう1台はモンキー125をカスタムした「Saru With Love」。前後オーリンズのサスペンションを身につけた「サル」の名前を持つ攻撃的なカスタムモンキーを手がけたのは、ビルダーのアーサー・ヤン氏。アルミホイールにスイングアーム、チタンマフラーなど、細部にまでこだわり抜かれたモンキーは、走りを極めるだけではなく、ルックスでも強烈な個性を放っている。

この2台は、ホンダのアメリカ進出60周年を祝うと同時に、多くの愛好家のためにアクセサリーのラインナップを提案することができたはずだ。ハンターカブやBAJAモンキーのように、もしかしたら市販化される日がくるかもしれない?