TOO EARLY、TO BORN. 早すぎた(?)バイクたち。~スクーター編~
いまとなってはとても素敵に見えるのに、なぜか販売中はそれが数字に現れなかったバイクたち。
世に出るのがもう数年遅ければ、なんて言いたくなるような、早すぎたモデルを紹介。
※Moto NAVI 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです
text_日越翔太(Moto NAVI)
この“道具感”が最大の武器! ホンダPS250(2004)
原付編で紹介したホンダ・ソロ同様、こちらのPS250もホンダNプロジェクト出身の一台で、2004年6月に販売開始された。
単管パイプで組んだかのような丸いフレームが無骨かわいいのに加え、可変式シートやタンデムシート下のキャリアなど、スタイルと使い勝手を考慮した利便性の高い装備が充実。ほかにはないデザイン、機能性に富んだ装備という攻守ともに万全な体制で、これは売れるに違いない! と思いきや、ビッグスクーターにおける最大の特長であるシート下の収納スペースが致命的に狭いという欠点が災いしてか、一度もモデルチェンジすることなく、2007年にはあっというまに販売終了。
当時はアメ車さながらのロー&ロングでラグジュアリーなビッグスクーターに注目が集まっていた時代であり、その真逆とも言えるPS250に活躍の場はなかったようだ。
アウトドアブームのいまなら、ホンダ・モトラとも通ずるこの道具感がウケただろうに……と思うのは筆者だけではなかったようで、中古市場ではそこそこの人気を誇る。何事も最後に勝ちゃあいいんです! キャンプ道具満載で湖のほとりに乗りつけたいバイクNo.1はコイツで間違いなし。
それにしても筆者は雑誌「ミスター・バイク」か何かの新車紹介記事で、PS250のフロントにスイカをくくりつけた写真を見て以来、ずっとバイクというものが持つ、根本的な自由さに心躍らせている。確か夏休みをイメージした写真だったが、バイクってそういう自由なもの、気楽なものだった気がするけど、ここんとこどうだろう? みんな物事をまじめに、難しく捉えがちなんじゃないか。PS250くらい、気楽にいこうよ。
ホンダPS250(2004)
●サイズ=全長2085mm×全幅795mm×全高1090mm ●ホイールベース=1455mm ●シート高=725mm ●タイヤ=前110/90-12 64L、後130/70-12 56L ●タンク容量=12L ●車重=171kg ●エンジン=249cc水冷4ストロークOHC単気筒 ●最高出力=19ps/7000rpm ●最大トルク=2.1kgf・m/5500rpm ●新車時価格 ¥479,000 ※税抜 ●中古車相場 ¥230,000 ~¥780,000(20年10月現在、編集部調べ)