MOTORCYCLE

人生が変わる(かもしれない)バイクセレクション #絶版車編2

このバイクを買えば人生が変わる(かもしれない)と思うに足る
チカラを秘めたバイクをMoto NAVIが独断と偏見でセレクトしてご紹介。
この第2回では、さらに5台のバイクをプレゼンしよう!

文/Moto NAVI

人生をバイクで変えよう……?

発売中のMoto NAVI(モトナビ)2021年4月号(No.111)は、「変 CHANGE」と題して、バイクライフや人生に影響を与えたバイクアイテムを紹介している。
しかし、やっぱり人生を変えるくらいのインパクトが欲しいなら、バイクそのもの以外になりでしょ! ということで、本誌が独自の視点で選んだ人生を変えそうなバイクを、絶版車のなかから5台セレクトしたので、ぜひ初回(人生が変わる“かもしれない”バイクセレクション #絶版車編1)と合わせてチェックしていただきたければ幸甚だ。

その沼はとても深く、心地よい。(ホンダ・モンキー)

かつての50ccモンキーやホンダ・ゴリラ、スーパーカブなどを指す「4ミニ」こと、4ストロークの50ccエンジンを搭載したミニバイクの世界は、いわば「沼」のようなものだ。一見大したことがないように見えても、一歩踏み入れた瞬間、ずぶずぶと足元から沈んでいき、気がつけば首までどっぷりハマって抜け出せなくなる。文字通り、「首ったけ」になるのだ。

その理由は4ミニが持つ1/1のスケールモデルのような世界観と、沼には存外多くの仲間がハマっているから。モンキーの生誕以来、数え切れないほどの先人たちが、その沼で楽しいおもちゃと優しい仲間に囲まれて沈んでいる。乗ってよし、いじってよしの4ミニ沼。そこにはベテランも初心者も、そして悪しき排気量マウントもない。二輪車にとって最もプリミティブな楽園があるのだ。中古車相場は15~180万円(!)ほど。

乗りやすいは正義!(BMW F800S)

ハーフカウルのバイクは日本であまり人気が出ない。そう言われることがある。しかし、先日モデルチェンジしたロングセラー、ホンダCB1300SBはまごうことなきハーフカウルだし、そもそも世間的な人気の有無で愛車を選ぶのはとても愚かなことだ。自分がいいと思うバイクに乗る。それが何よりベストだろう。

閑話休題。ここで紹介するF800Sはハーフカウルを装備したミドルクラスのネイキッドバイクで、日本国内では決して人気があるバイクではなかった。ハーフカウルが問題だったのか、パッケージングの問題だったのか。それともちょっとクセのあるデザインがネックだったのか。大衆に支持されなかった理由はわからない。しかし、ひとつ言えることがある。それはF800Sがとにかく乗りやすいバイクだということだ。一度でも乗ったことがあるライダーなら、これだけは意見が一致するはず。自分の技量や体格に合わず乗りづらいバイクにこわごわ乗るよりも、笑顔で乗れる一台を選んで安全な楽しいバイクライフを。中古相場は30万円前後とお手頃だが、タマ数がないのがタマにキズ。

スーパースポーツで性格を変える(トライアンフ・デイトナ675R)

直線ではワルサーP38から放たれた弾丸のようにかっ飛び、連続するカーブをひらりひらりとクリア。そしてふたたび直線に出ればまた加速……。心身ともにバイクと一体となって走るスーパースポーツは面白い。もちろん、乗りこなす腕がないと楽しめないし、サーキットに行かないと本領を発揮できないのは事実だが、乗れば乗るほど、もっと速くなりたい、もっと上手くなりたいと心のどこかで向上心が騒ぎ出す感覚が実にいい。もちろんどんなバイクであれ、もっと楽しく乗れるようになりたいと思うのは一緒だが、スーパースポーツこそ最も内面を劇的に変えてくれるカテゴリーだと思う。

ということを踏まえて中古のスーパースポーツをチェックすると、輸入車に乗るというステータス性も含め、ここではデイトナ675をプッシュしたい。コンパクトなボディに元気のよい3気筒エンジンをギュッと詰め込み、低中速から高速までしっかりパワフルに加速。リッターSSほどの超パワーはないが、そのぶん回転数を意識して乗る楽しみがある。写真の675Rの中古車相場は100~220万円ほどだが、無印の675であれば50万円~とリーズナブル。

明日の自分は、今日より歳を取っている(ヤマハVMAX)

たとえば明日、急に病気で倒れたり、天災に巻き込まれてバイクに乗れなくなってしまうかもしれないと考えたら、いますぐ乗っておきたいバイクが誰にでも一台くらいあるはず。いつか乗りたかったバイク。某予備校の林先生ではないが、いつ乗るの? いまでしょ? って話である。今日の自分が今後の人生で一番若いのだから、憧れのVMAXを転がすなら、いましかない。

正直な話、2021年、令和も3年目となったいま、VMAXにかつてのインパクトはない。VMAXなど目じゃないトルクを活かした超加速マシンはゴロゴロあるし、デビュー当時は新鮮だったデザインも40年近く経てばさすがに見慣れてくる。現代のバイクに慣れてしまったライダーでは、満たされない部分もあるだろう。しかし、サーキットでもないかぎりVMAXのスペックを使い切れる場所などないし、公道で使い切ろうなんてライダーはまともじゃない。この雰囲気とデザイン。そしてVMAXという名前。それに思い入れがあれば、きっとその選択は正しかったと思えるはず。中古車相場は25~100万円。

トム・クルーズになりたい(カワサキGPZ900R)

言わずとしれたハリウッドスター、トム・クルーズ。いつまで経ってもエネルギッシュで若々しいその姿、そのアクションは、とても還暦間近とは思えない。しかしあれはハリウッドのトップスター。自分と比べるものではないが、やはり男ならみんなトム・クルーズになりたいはずだ(主語がデカすぎる)。

というわけで、いまあえてニンジャに乗るのはどうだろう? 気分は「トップガン」のマーヴェリック(トム・クルーズ)。ロングセラーだけあってタマ数は豊富で、ノーマルからしっかりカスタムされた車両までよりどりみどり(完全ノーマルは少ないけれど)。個人的にはヘッドライトまわりの造形は、いまなお唯一無二だと思う。中古車相場は30~300万円(!)。トムへの道はとても険しいが、目指してみる価値はある。なお、「トップガン」の続編、「トップガン マーヴェリック」は本年、2021年公開予定。

ほかにも、さまざまなバイクライフと人生を変えるあれこれを詰め込んだ本誌最新号(2021年4月号、No.111)は、現在全国の書店やアマゾンなどのネット書店にて発売中。そちらも合わせてお楽しみください。