北のボ日記 #10「セカンドオピニオンと球切れとネガティブケーブル」
オルタネーターの復活でようやく元気になったかと思ったS80だが、
そうは問屋が卸さない、を地で行く展開が待っていて……。
原因を究明すべく、アサカワはセカンドオピニオンを求めた――。
文と写真/淺川覚一朗
そんなわけで「パーキングアシスト」(いわゆるバックセンサー)の不安定な挙動といった電装系のトラブルは、電圧のドロップが原因だったはずです。とにかくムラがありました。スイッチ部のランプにも、エラー表示が出たことは無かったし(画像赤丸右)
そして、オルタネーターが動くようになり、何もかも元に戻ると思っていたのに「アクティブバイキセノンヘッドランプ*」は不動のままで「ヘッドライト コショウ」のメッセージも消えず、スイッチ部のランプもエラーを示す点滅のままでした(画像赤丸左)
* プロジェクターランプ(ロービーム)がステアリング操作に連動して左右に動く機能。また、上下方向のオートレベライザー機能も備える。
北のボ日記 #7「バッテリーが死んだ! エンジンも死んだ!」
北のボ日記 #8「オルタが死ぬ時! バッテリーは凍結する!」
この原因が、どうにもわかりません。ホームドクターの江別市の「テックプラス」で、こうして左右のユニットを入れ替えてみても、ロービームは煌々と輝いています。
また、ライト全体をコントロールしているモジュールを別の個体(V70)のものと交換してみても、状況は変わりません。
軽くお手上げになってしまったので、某所(諸事情!)にセカンドオピニオンを求めることにしました。
すると、上下左右の動きの制御は大元のモジュールではなく、別の小さなモジュールの仕事だというのです。その在処を探してみると
……ライトユニットの下で腐ってました。どうやら水が侵入していたようで、ライトとモジュール双方のコネクター部が腐食していて、どちらも交換が必要です。
しかし新品を手配すると、両方で両手レベルの金額は必至なので、どうにか中古で見つけたいところです(なかなか無いんですよ)
腐食といえば、オーバーサイズのバッテリーを無理やり詰め込んでいたストレスは端子にも影響していたようで、継ぎ目がボロボロになり、皮膜の硬化も極端に進んでいたネガティブケーブルを交換しました。
こちらも純正だと万を超えてしまうので、高品質なオーディオ規格のケーブルを加工したものをネットオークションで数千円で手に入れました。
結果、セルが軽く回るようになり、タコメーターの針の上下動もスムーズになってくれました。と、ここまでは抵抗値低減の効果にしても、オーディオの音質の評価となると、主観とオカルトの領域になるかもしれません。でも、低域が厚くなって、サカナクションや米津玄師のASMR的な音の粒だちも変わってきたかな? みたいな自己満足をしています。
さらに電装トラブルがもう一つ。ナンバー灯の片方が、ついたり消えたりしています。
外してみると、なんと溶け落ちた電極の破片が出てきました。
これは、本来「C5W」という規格(↑先ほどの画像の上部)のバルブが必要なところに、日本で一般的なひとまわり小さいサイズの「T10×37」を代用していたことが原因です。
端子間の距離だけでもミリ単位で違い、サイズが小さいので、走行中やトランクの開閉時の振動で電極が暴れ、接触不良を起こして端子に火花を散らしたのでしょう。
また、本来5Wのところに10Wのバルブがついていたので、たしかに明るいにしても
ホルダー全体が熱の影響なのか歪んでいたことを考えると、ここは正しいサイズとワット数を守ることにします。ちなみに、冬の夜にはナンバー灯の熱で、トランクの雪が不思議な融け方をします。アルバムを眺めながらこんなに前からついたり消えたりしてたのかと、今さら発見したところです。
それこそLED球への交換で、発熱を抑えて明るくすることもできますが、このクルマには暖かい電球色が似合うような気がします。リモコンで点灯できるドアミラー基部の「ドアミラーランプ」も、これが真っ白でカチッとした色だったら、なんだか興醒めのような気がするのです。このクルマと過ごすうち、アサカワも北方圏の色味に染まってきたのでしょうか、さて?
著者紹介
淺川覚一朗
じつは旧「NAVI」当時から隅っこで描き続けている古株。「Moto NAVI」では「バリ伝」「ララバイ」のストーリーボードを書いたり、現在は書評「Moto Obi」を連載中。ライター稼業の一方で、北海道美唄市の「地域おこし協力隊」として業務委託を受け、同市の“役場の人”として街おこしに取り組んだり、観光情報を発信中。