CAR

北のボ日記 #19「どうにもとまらない」

騙し騙し過ごしてきたトラブルの解決を試みたところ、
また新たな地雷原(?)に足を踏み入れたボルボS80。
すぐに無くなるウインドウォッシャー液の行方とは。

文と写真/淺川覚一朗

長旅の余韻が残っている。
北海道・小樽からフェリーで京都・舞鶴に上陸。中国道で駆けた広島・呉で折り返し、瀬戸内海を四国、愛媛・松山へ。明石海峡大橋で本州に戻り、新名神、新東名で東京、常磐道から茨城・大洗でフェリーに乗り、帰途に着いたのが昨日のことのようだ。
ボルボ S80は、大きなトラブルを潰してから出発したので、走るのに困るような場面はなかったけれど、欧州車的に正しく? 消費されていたエンジンオイルで警告灯が出たことには驚かされた。

北のボ日記 #17「オイルSOS」

この年式のボルボ S80のオイルは、純正だとカストロールのボルボ専用品(0W-30)が指定されているけれど、これが量販店などでは入手できないこともあって、ホームドクター「テックプラス」おすすめのドイツ・VAICOの0W-40を入れている。
3.2リッター直6横置きと存在感たっぷりのエンジンは、これを7.3リットルも飲み込むのだから、なんというか、時代を感じさせるところだ。
そして、いつまた警告メッセージが出てくるかもしれないので、1リットル容器をトランクに常備しておくことにした。<.p>

テックプラス
https://s-hokusyo.com/modules/techplus/

VAICO
https://vaico.de/?lang=en#products

しかし、騙し騙し帰ってきたトラブルもあった。一定量以上注ぐと、ザアザア地面に漏れてしまうウインドウォッシャー液だ。

北のボ日記 #16「あふれる熱い涙」

たしかに、減るのが早いとは思っていた。このクルマ、窓のウォッシャーを5回作動させる度、連動してヘッドランプウォッシャーが派手に噴き出すのが仕様なのだけれど、同系統の車種のオーナーには、ヒューズを外すなどの荒技で、この機能をキャンセルしてしまう人もいるくらいだ。その上、タンク? ホース? からダダ漏れなのだもの、それは減るのも早いだろう。
ともあれ、あの長旅を戻ってくるまでは大丈夫だったけれど、その後早々に「ウォッシャーエキヲ ホジュウシテクダサイ」が点灯してしまった。

メッセージ点灯の後、補充すると、1リットルも入れていないうちに漏れ始める。穴? 増えている???
ボンネットを開けても、ウォッシャータンクには簡単にはアクセスできない。こういうときは、素直にホームドクターに駆け込むことにする。これは、リフトアップが必要だろう。

存在感がありすぎの6気筒エンジンに追いやられたウォッシャータンクはバンパー裏にあった。で……ホースから漏れてましたね。ほら、ここ! 配線のハーネスと一緒に括られているところで、薄青のウォッシャー液がダダ漏れしてる!(画像下左)それどころか、ポッキリ折れちゃってるところまである!(同右)

ここからは、我が主治医の腕の見せ所。いくつかあった破断箇所にシール剤を塗り、自己融着するゴムのテープで巻き、金属製のホースバンドでカシメて、修理完了!

──というわけにはいかなかった

蛇腹状のこのホース、樹脂として正しく劣化して硬化していたようで、曲げなどのストレスがかかっているところが破断していたのだけれど、穴を塞いだら、今度は別の劣化した箇所に負荷がかかり、そこが破れたり折れたりと、イタチごっこになってしまったのだ。
まあ、古いクルマというのは、こういうものだ。

──諦観、平常心

とはいえ、なんだか悔しいけれどしかたがない。さすがにウォッシャーホースに社外品汎用品は無いので、純正部品が発注されることになった。
それにしても、ヘッドランプウォッシャーは、便利かもにしても過剰な装備なのかもしれない。この通り、ホースの延長は長くなるし、取り回しも複雑になる。
LEDランプの場合には、雪や氷が融けてくれない関係があるので、必要があるかもしれないにしても、ハロゲンやHIDには、まだまだ無用の装備に思えた。
それにしても、満タン補給で6.5リットル! って、それはどこの海ですか……。

さて、穴だらけのホースがやっと直ったエンジンルームの大騒ぎの一方で、ガラスコーティングを施したボディの方はじつに調子がいい。
ボディはピカピカというよりは、しっとり。そして、美しいのは当然として、日常的には「汚れにくい」「汚れが落ちやすい」という特性で快適に過ごせている。
雨に降られたあとのホコリで薄汚れた感じや、水たまりのハネがボディに残りにくいのは、ズボラなオーナーにこそ福音になるだろう。
そして、鳥のフンといった大物で汚れたときにも、ザッと水をかけてスポンジやクロスで拭きとったりが、抵抗感を持たずにできる。そしてもちろん、汚れ自体も落ちやすいし、拭き取った箇所も悪目立ちしにくいのだからありがたい。

そして北海道には、もうすぐ冬がやってくる。雨や汚れにはそのような性質のある親水性ガラスコーティングが、雪や氷ではどうなるか、山肌に積もり始めた雪を眺めながら、期待と不安の両方を感じながら平地の初雪を待っている。

北のボ日記 #12「ガラスのコーティング光る時」

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著者紹介
淺川覚一朗
じつは旧「NAVI」当時から隅っこで書き続けている古株。「Moto NAVI」が「バリ伝」「ララバイ」を特集したときには水を得た魚になったサブカル系ライター。現在は“バイクな本”専門の書評連載「Moto Obi」を担当。一方で、北海道美唄市の「地域おこし協力隊」として同市の街おこしや情報発信に取り組んだり、地元紙「空知プレス」にコラム「地域おこしのタネ」を連載中。