TOO EARLY、TO BORN. 早すぎた(?)バイクたち。~輸入車編~
いまとなってはとても素敵に見えるのに、なぜか販売中はそれが数字に現れなかったバイクたち。
世に出るのがもう数年遅ければ……なんて言いたくなるような、早すぎたモデルを紹介。
※Moto NAVI 2020年10月号に掲載された記事を再編集したものです
text_日越翔太(Moto NAVI)
たとえば「時代の徒花」であったとしても。
ドゥカティGT1000(2006)
ドゥカティといえば、パニガーレやストリートファイター、ディアベルなどが体現するような、目ヂカラの強い顔にキュッと上がった小さなテール、抑揚の効いたカウリングなどを破綻なくまとめたシャープなスタイリングが魅力のひとつ。
まさにイマドキっぽいデザインを得意とするブランドであるドゥカティだが、ほんの10年前まで「スポーツクラシック」と呼ばれる伝統的なバイクの文法に則ったスタイリングのネイキッドシリーズを生産していた。MH900eから発展し、デザイナーのピエール・テルブランチの才能と相まって大いに注目を集めた同シリーズだが、残念ながらその話題性も販売台数には結びつかず。シリーズはいずれのモデルも数年で姿を消すこととなった。
そんなシリーズの最後発、2006年にデビューしたのがこのGT1000。デザイン性と性能、そして実用性も両立させたとっておきの一台だったが、やはり早すぎたのか2010年にカタログ落ち。あと5年頑張っていれば、天下獲ってたかもよ、なんて思ったりするがどうだったんだろう。
どの角度から見ても、伝統的な二輪車らしさ満点の万人ウケしそうなスタイリングなのに、時代を先取りすぎたのか。より今っぽくするなら、リアフェンダーを取っ払い、リアの車高を下げて、ハンドルをセパハンにすればあら不思議! 一気にはやりのカフェレーサー風カスタムが完成。それだけで印象が変わるのは、やっぱり素性がいいからか。インドネシアやマレーシアあたりでカスタムしてもらって、Tシャツ1枚で現地の田舎道を走るととんでもなくカッコよさそうじゃない?
ドゥカティGT1000(2006)
●サイズ=全長2180mm×全幅790mm×全高1060mm ●ホイールベース=1425mm ●シート高=810 mm ●タイヤ=前120/70 R17、後180/55R17 ●タンク容量=15L ●乾燥重量=185kg ●エンジン=992cc空冷4ストロークL型2気筒 ●最高出力=83ps/8000rpm ●最大トルク=8.5kgf・m/6000rpm ●新車時価格¥1,350,000 ※税抜 ●中古車相場 ¥800,000前後(20年10月現在、編集部調べ)
「早すぎた(?)バイクたち」シリーズは、ほかに原付編、250cc編、スクーター編もあるので、興味があればぜひどうぞ。