いつかのツーリング Vol,1
信州シルクロードをご存知ですか?<前編>
文、写真/高梨達徳(MotoNAVI)
コロナウイルスの影響で外出自粛が続く中、皆さんはどうお過ごしでしょうか? せっかくのゴールデンウィークですが、早期収束のためにできることをしましょう。とは言えちょっとはツーリング気分を味わいたいもの。そこで、編集部がまだ本誌では記事にしてない、個人旅行で行ったオススメのツーリングコースを大公開。そんな企画の第1回目にご紹介するのは、日本の近代化を支えた産業のひとつ、製糸業の歴史を辿る「信州シルクロード」です。
製糸業と聞いて、まず思い浮かべるのは、群馬県富岡市にある世界遺産「富岡製糸場」ですよね。もちろん生糸は生産していましたが、こちらは官営だったこともあり、日本の気候に合わせた器械の導入や生産方法を導入して、工女に技術を教え全国に普及することに大きく貢献したそうです。
では、日本で最も生産が盛んだった地域は、どこだと思いますか? 正解は岡谷市や諏訪市を中心とした長野県中部でした。それでは歴史を辿る旅に出かけて行きたいと思います。
まず最初に訪れたのは、長野自動車道岡谷ICから1O分ほど、JR岡谷駅近くにある、イチヤマカ林製糸所の経営者である林国蔵の住宅として明治時代後期に建てられた「旧林家住宅」です。郵便局の誘致や中央本線の開通を進めるなど、製糸業だけではなく岡谷の発展にも貢献した人物なのですが、とてもハイカラさんだったようで、和洋折衷な内外装や隠し階段の先にある金唐革紙を張り巡らせた茶室を設けるなど、住居に対しても随所にこだわりがみられます。
この方が林国蔵さん。10年かけて建築したものの、2代目は東京に居を移したため、住居として使われた期間は短いとのこと
金唐革紙は銅を使用しているため、長い年月がたつと輝きを失うそうだ。
隠し階段を上ると絢爛豪華な茶室が現れた。蔵の中にあるため、保存状態がとてもいい。
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旧林家住宅
次に訪れたのは、シルクの街「岡谷」の歴史や文化を伝える岡谷蚕糸博物館<シルクファクトリーおかや>。これまで使われてきた歴代の繰糸機の展示されている糸都岡谷ものがたりゾーンだけではなく、実際の製糸工場が併設されており、その作業を見学することができます。まゆ人形やコサージュが制作できるワークショップの開催されており、大人だけではなく子供連れでも楽しめること間違いなし。
エントランスには最盛期の岡谷を描かれた絵画が飾られている。生糸を採取する際に大量の湯を使用するために、町中で煙が上がっていて、スズメも真っ黒だったと言われている。
工場内では、昔の作業を再現したブースがあり実際にその模様を見ることができる。ここで販売されているシルク石鹸は洗うだけで、肌がツルツルに!
まゆ人形のワークショップは、季節によって製作するものが変わる。もっと手軽に作れるものもあるので、気になる方はHPをチェック。 シルクファクトリーおかや
そろそろ、遊び疲れて空腹になってきたところで食べておきたい名物、それは「うなぎ」です。諏訪湖から天竜川が流れるこのあたりでは、昔はうなぎが豊漁で、よく親しまれていたそう。その特徴は何と言っても調理方法にあります。関東のさばき方である背開きしたうなぎを、関西地方の蒸さずに焼きを入れているのですが、この蒲焼が本当に美味しい。サクッとした食感のうなぎに少し甘めのタレの組み合わせは、ご飯がいくらでも食べられちゃいます。
店内には蒲焼の香ばしい香りが広がっているので、頼みすぎに要注意(笑)
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うなぎの館天龍
まだまだ魅力たっぷりの「信州シルクロード」の旅、後編に続きます。
後編 信州シルクロード